t_kahi’s blog

KNIMEやCellProfiler、創薬に関する記事と,日々のメモです

Pfizer社のPhase II success rateに関する総説を読んで

こんばんは,@PKです.

Drug Discovery TodayでPfizer社のPhase II成功確率が向上した理由について考察したreviewがopen accessで公開されていました.

www.sciencedirect.com

このreviewではPfizer社がPhase IIの成功確率を2010-2020で19%から53%まで向上させた理由を考察していています.

概要としては、

  • 重点領域を絞り、各専門領域のバイオロジーの理解を深めた
  • モダリティの幅を広げてdruggableな創薬標的を広げた
  • 3-Pillarsの考え方をベースにプロジェクトの意思決定をより定量的に判断する

などが向上の理由との考察をしています.
open accessなので細かい点はぜひ読んでみてください.

ちなみに3-PillarsというのはPfizer社のPoC成功確率を向上するために必要な、薬物の暴露と薬効の関係性に関する要素として掲げているものです.

  • Pillar1 : exposure at the site of action
  • Pillar2 : binding to the pharmacological target
  • Pillar3 : expression of pharmacological activity from the site of action

Can the flow of medicines be improved? Fundamental pharmacokinetic and pharmacological principles toward improving Phase II survival - ScienceDirect

日本語だと以下の総説がわかりやすいです.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/148/6/148_290/_pdf

重点領域を絞る過程でExitした領域は(infectious disease, neurology and pain, etc.)NME(New Molecular Entity : 新規化合物)のPhase IIが全く成功していないので、そこは企業としては判断せざるおえないと思う一方で、成功確率が低い疾患領域には間違いなくUnmet Medical Needsがあり、このような分野の患者さんの治療法をどうやって確立すべきかを考えていきたいなあと思いました.

モダリティについては、モダリティの幅を広げることでDruggableな標的を狙うことができる=狙うべき標的に正しくアプローチできるということで、当たり前ですけどモダリティを増やすことがゴールではないはずです.これは疾患を深く理解することとリンクしていて、「Right Target -> Right Modality」だと思っています(モダリティの四面体

あとは、First indicationでprimary endpointsを満たさずにPhase IIを失敗した化合物についてはDrug Repositioningを実施しても成功した例がほとんど無いため原則認めていない、というのは自分にとっては新しい内容で勉強になりました.