こんばんは,@PKです.
解析待ちながらTwitterを見ていたら,@kzfmさんのブログが上がっていました.
blog.kzfmix.com
梅田望夫さんの「ウェブ進化論」という名著かつ古典があります。既に13年以上も前に出版された本ですが未読であれば読んでおくことをおすすめします。
プログラミングまたは機械学習の高速道路
コメントが面白かったのと,おすすめされたので,Kindleで購入して読んでみたところ,確かに面白くて一気に読んでしまいました.
本の中では,インターネット側を「あちら側」,そして現実の世界を「こちら側」と言っていたけど,最近までは私は「こちら側」の考えしか知りませんでした.
プログラミングに触れる機会が無いと,なかなか考え方を理解するには難しいですね…
本の中でいくつか自分が響いた部分があったので,引用しながら紹介します.
組織 が 数 十人 規模 なら ば、 組織 内 の 全員 が ありとあらゆる 情報 を 共有 する イメージ も 湧く という もの だ が、 それ が 五 〇 〇 〇 人 に なっ たら どう なる のか、 なかなか 想像 が つか ない。 ある とき 私 は、 グーグル に 勤める 友人 に そんな 疑問 を ぶつけ た。 彼 は 即座 に こう 言っ た。 「 情報 自身 が 淘汰 を 起こす ん だ よ」
梅田望夫. ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) (Kindle の位置No.890-901). . Kindle 版.
最近,twitterやslackで知識の共有をしたり,社内でもslack形式で情報共有するようになって,この表現が腑に落ちました.
最初は情報が雑多に流れてくるだけでどう使えばいいのかわからなかったけど,段々とこのチャンネルの会話は面白い,とか誰々のコメントは意味が深いとか,自分で取捨選択をして知識を取り入れていくことができるようになってきます.
個人がキュレーションする必要はなくて,総体として淘汰される情報が大事というのは,(全員がプロフェッショナルという前提で)無駄も無く良い仕組みですね.
「 アイデア の 起案 自身 という のは ほとんど 評価 さ れ ない。 アイデア っていう のは 当然、 難しい 問題 を 含む もの だ。 その 問題 を 解決 し て、 動く 形 に し て 初めて 評価 さ れる。 口 だけの 人 は ダメ だ な」 梅田望夫. ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) (Kindle の位置No.929-934). . Kindle 版.
実験科学でもそうだと思うのですが,アイデアだけだったらなんでも出てくるのですが,実際に計画を立てて,実行して,結果を解釈する,ところまで落としこめるのはなかなかできないですよね.
グーグル の「 優秀 な 人間 が、 泥 仕事 を 厭わ ず、 自分 で 手 を 動かす」 という 企業 文化 は、 情報 発電所 構築 において グーグル が 競争 優位 を 維持 し 得る 源泉 の 一つ で ある。 梅田望夫. ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) (Kindle の位置No.737-739). . Kindle 版.
つい先日,同僚と同じような話していました.
皆んながめんどくさいからやりたくないと思う部分に実は宝があって、肥溜めに手を突っ込めるかどうかが重要なんです、と同僚と話していた
— PK (@t_kahi) July 16, 2019
急がば回れの精神を持たないといけない
どの分野もそうだと思うのですが,自分が正しいと考えるなら,迷わず肥溜めに手を突っ込んで探さないといけないと感じています.
後半の章では,ブログの技術面と文化面について記載されていました.
技術的な面では,各ページにURLがつけられたことやRSSとの組み合わせがなぜ良かったのかについて書かれていましたが,ブログの効用としての「知的生産の道具としてのブログ」という考え方は,改めてその通りだとおもいました.
( 1) 時系列 に カジュアル に 記載 でき 容量 に 事実 上限 界 が ない こと、( 2) カテゴリー 分類 と キーワード 検索 が できる こと、( 3) 手ぶら で 動い て い ても( 自分 の PC を 持ち歩か なく とも)、 インターネット への アクセス さえ あれ ば 情報 に たどりつける こと。( 4) 他者 と その 内容 を シェア する のが 容易 で ある こと。( 5) 他者 との 間 で 知的 生産 の 創 発 的 発展 が 期待 できる こと。 この 五つ の シンプル な 効用 の 組み合わせ が 有難い。
梅田望夫. ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) (Kindle の位置No.1829-1833). . Kindle 版.
自分も,ブログをメモ代わりに使用している部分がありますし,ブログを通じて知り合いができることもありました.
ブログを書けと言い続けてくれた弊社の先輩には頭があがりませんね...
「高速道路の整備と大渋滞」の話は@kzfmさんのブログでも触れられています.
勉強するための資料や手段は,きちんと探せば見つかる時代ではありますが,勉強すればするほど,その先の今まで知らなかった風景が見えてきて,そこには,既に昔からきちんと歩てきた人や,高速道路を引いた人がだくさん居ることにも気付けるようになりました.
体系 を 極める べく 高速道路 を 疾走 する も よし、 高速道路 を 避け て 独自 の 道 を 発見 し て 歩ん で いく も よし。 梅田望夫. ウェブ進化論――本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) (Kindle の位置No.2405-2406). . Kindle 版.
自分は実験科学者+創薬研究者という軸があります.
創薬研究にも高速道路は敷かれているが,「あちら側」と比べるとまだまだ難しい分野なのは間違いです.
絶対的な正解は無いですが,少しでも正しい方法に進めるように,創薬研究における自身の「物の見方」をきちんと定義しておくことが重要なのかな,と改めて感じました.
新しい本ではありませんが,非常に勉強になる内容が詰まっている本でした.