こんばんは、@PKです.
今回はAssay Guidance Manualの中の「Assay Operations for SAR Support 」に記載されているIC50/EC50の決定に関して少し紹介したいと思います.
化合物の阻害活性または反応活性を算出する際には、一般的に用量反応曲線からIC50 (50%阻害濃度), EC50(50%効果濃度)を算出します.通常、反応曲線はシグモイドになりフィッティングにはFour parameter logistic model (4PL)を用います.
4PLを使用すべきではないケースとして、化合物の効力が濃度範囲外にあり、データがシグモイド曲線の下限、上限の漸近線を表現しきれないときです.そのような場合はBottomやTopの値を固定することで実測データに適した結果を得ることができます.
以下Example1-3の図がとてもわかりやすいので紹介します.
このデータは濃度(横軸)に対して活性(縦軸)をプロットし、フィッティングをした結果を示しています. また表には、BottomとTopを固定しない場合、それぞれを固定した場合についてFitting error、Bottom, Top, IC50, Slopeを算出しています.
例えばFig1ですと、Bottom Fixedは明らかにデータに合っていないので不適切で、Top固定はわずかにfitting errorが改善しますが、その差は小さいかつIC50にもほとんど変化がないので、4PLが適しているとわかります.
一方でFig2では、Top doseがプラトーに達するデータポイントが少ないので、Topを固定するモデル(3PLFT)が最も適していることがわかります.
また、Fig3では、Bottomのデータポイントが不足しているため、4PLではFitted Bottom が41.54となり、明らかに不適切です.このような場合はBottomを固定する3PLFBでフィッティングすることで適切な結果を取得することができます.
実験系によっては、化合物の活性や阻害のEmax/ImaxがPartialなこともあるので、実データに合わせてうまくデータを解析していく必要があります.
今回は「Assay Operations for SAR Support 」の一部にしか触れていないので、ご興味ある方は原文をぜひ読んでみてください.
参考文献
Beck, B. et al. Assay Operations for SAR Support. in Assay Guidance Manual (eds. Markossian, S. et al.) (Eli Lilly & Company and the National Center for Advancing Translational Sciences, 2012).